あんまアニメ観ない僕でも『けものフレンズ』が面白いわけ

小・中学生の頃はまだゴールデンタイムにアニメがバンバンやってたので、毎日のようにアニメを観ていた世代なんだけど、ここ十五年くらいの深夜アニメはまったく観てない。ここ最近で全部観たのは、まどマギとあの花、シュタインズ・ゲートくらい。

そんな僕でも今流行の『けものフレンズ』を大変楽しく観てるので、その辺の理由を書いておこう。

 

ミステリ的に面白い

まず物語の大きなふたつの謎として、

というのが最初から提示されている。アニメ版けものフレンズは、かばんちゃんという「個人」のアイデンティティと、ジャパリパークという「世界」のアイデンティティを探す物語だ。
視聴者にはかばんちゃんが「ヒト」であるのはわかりきっているが、かばんちゃん・サーバルちゃんにはわからない。
逆にサーバルちゃんにはジャパリパークがどういう「世界」なのか(サーバルちゃんなりに)わかっているが、視聴者にはわからない。その非対称性も面白い。

その中で、川を渡るにはどうしたらいいか、カフェに人を呼ぶにはどうしたらいいかなどの各話ごとに「謎」が出てきて、かばんちゃんが人間らしい知恵や機転を活かして解決していく。これが大変気持ちよい。

特に5話のプロデューサー的な視点での分業の提案はweb屋としては特に面白かったし、それをさらに上回る6話の「戦争」をどう平和的に解決していくかというのは、大変感動した。よく「戦争なんて政治家なり戦争したい奴らだけ集めて、殺し合いさせりゃいい」とか「オリンピックは代理戦争だ」なんていうが、それを地で行く話で、こうも堂々とそれを見せられると、「ああ、そうですよね」みたいな説得力がある。すごーい!

エロくない

わりと重要。別にアニメに(というか、普通のコンテンツに)エロは求めてない。パンチラとかいらんし、不自然に胸が揺れなくていいし、ラッキースケベもなくていい。
キャラによっては多少衣装がきわどかったり、ケツにこだわりがあるようにみえる描写もあるけど、いやな感じではないので、安心して観られる。子供でも安心して「たーのしー!」のだ。

キャラが低脳でも許せる

高校生なのに、お前は幼稚園児か!みたいなあたまわるい・精神年齢が低すぎるキャラが苦手だ。観てて辛い。大変辛い。リアリティの欠片もない。いや、おそらく一般的なアニメ視聴者はそこにリアリティを求めてないし、むしろ癒やしを感じるんだろうが、「現実にそんな奴おらんやろっていうかいたら痛いことこの上ないだろ」と僕は思ってしまう。無理。全っっっっ然無理。
とか、かばんちゃんの性別も明確にされてないので、かばんちゃんが「ぼく」と言ってるなか、他のキャラの一人称が「おれっち」とかでも、『けものフレンズ』の場合、のもいい目くらましになっている。
しかも『けものフレンズ』では精神年齢が低いキャラが多いのだが、「元は動物」という設定なので、気にならない。精神年齢が低くて当然なのだ。すごーい!

ギャップがいい

一見ほのぼのアニメなのだが、かばんちゃん以外のヒトがいなさそう、またジャパリパーク自体が謎の施設(実質ヒトに見捨てられた廃墟?)という所と、精神年齢の低いキャラが個人と世界のアイデンティティを探る物語になっていて、ほどよくやわらかく、ほどよく硬い(考察のし甲斐がある)のが非常にスリリングである。アニメがこんだけ盛り上がってるのに、ソシャゲもマンガ版もすでに終わってるというのも、まさしく見捨てられたジャパリパーク感があってメタい。おもしろーい!

8話まででだいぶ世界観も見えてきたので、どうやって物語を終わらせるのか大変楽しみだ。